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弁護士 木村 耕太郎


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英文契約書の作成方法
英文契約書の作成方法

問題1.次の文の誤りを指摘してください。
We will prepare the English translation of the document.

問題1の解答
特定の文書の英訳をこれから作成するのですから、その「英訳」がただ一通りに決まっているということはありえず、したがって“ the English translation ” ではなくて“ an English translation ”でなければなりません。これは、かなり多くの日本人が間違えます(渉外弁護士でも)。こういうのは、ネイティブが書いたものを見て肌で覚えていくしかありません。



問題2. to receive a purchase order と to accept a purchase order の意味の違いを説明してください。

問題2の解答
  “ to receive a purchase order ”は注文書を物理的に「受け取る」こと、“ to accept a purchase order ”は注文書を「承諾する」ことです。反対語を考えてみれば簡単です。 receive の反対語は send 、これに対して accept の反対語は reject です。



問題3. It is apparent that… と It is obvious that… の意味の違いを説明してください。

問題3の解答
高校英語では apparent を「明らかな」と習った人が多いと思いますが、 apparent は通常、「・・・であるらしい」「・・・のように見える」といった意味で使われます(動詞形の appear で考えてみてください)。 obvious は「明らかな」です。



問題4. ambiguous と vague の意味の違いを説明してください。

問題4の解答
ambiguous も vague も辞書を引くと「曖昧な」とありますので、「どう違うの?」という方もいらっしゃると思います。しかし、両者はまったく意味が違います。 ambiguous は、「2通りの解釈が可能であり、どちらか一方には決められない」という意味です。これに対して、 vague は「いかなる解釈も出てこないので、まったく意味が分からない」という意味です。



問題5.次の文の誤りを指摘してください。
This Agreement is written in the Japanese language, therefore it should be interpreted in accordance with the laws of Japan .

問題5の解答
これは少し難問です。正解は、 therefore は副詞であり、接続詞ではないので、 therefore の前に and を入れるか、または、“ , ”(カンマ)を“ ; ”(セミコロン)に替えなければなりません。なお、「日本語で」というフレーズは“ in the Japanese language ”または“ in Japanese ”といいます。


いかがでしたでしょうか。簡単だった・・・という方はご自分で英文契約書を書かれても問題ないでしょう。

要するに、法律英語に関する限り、職業通訳や職業翻訳者の上を行くようでないと英文契約書は書けません。

もちろん、英語力だけで英文契約書が書けるわけではありません。英米法と日本法の知識・経験、国際取引に関する基礎知識はもちろんですが、契約書は「生き物」ですから、依頼者が何を求めているかを的確に聞きだすことのできるコミュニケーション能力が欠かせません。


 

 
 
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