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国際取引と言ってもいろいろありますが、ここでは信用状を用いた貿易取引について説明します。これを理解することが、英文契約書の基本である販売代理店契約書を理解するうえで極めて重要だからです。 |
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1. 為替手形(Draft)の使い方
貿易では、為替手形が重要です。日本の手形法では「約束手形」と「為替手形」がありますが、 国内取引では約束手形ばかりで、為替手形には馴染みがない人が多いですね。
為替手形の前に、小切手から説明すると分かりやすいので、まず小切手から。小切手の典型的なものは、以下のような文面です。
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小切手の使い方
ABC銀行(支払人 ) 殿 |
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金額 ¥1,000,000
上記の金額をこの小切手と引替えに持参人へお支払いください |
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振出人 XYZ |
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小切手は持参人払い式に限られませんが、細かい点はご容赦ください。
このように、小切手は、現金に代わる支払手段として使われます。
「振出人XYZ」は、ABC銀行に当座預金( checking account )を持っていることが前提です。
さて、為替手形も小切手と同じように使用することができます。 |
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為替手形の本来の?使い方
ABC銀行(支払人 ) 殿
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金額 ¥1,000,000
○○(受取人 ) 殿またはその指図人へこの為替手形と引替えに
上記金額をお支払いください
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振出人 XYZ |
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上の例で、やはり「振出人XYZ」がABC銀行に当座預金( checking account )を持っていることが前提です。
しかしながら、貿易取引における為替手形の使い方は、これとはまったく異なり、かなりひねりが入っています。順に見て行きましょう。 |
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貿易取引における為替手形の使い方1
買主(支払人 ) 殿 |
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金額 ¥1,000,000
「売主の取引銀行」(受取人 ) 殿またはその指図人へこの為替手形と引替えに上記金額をお支払いください
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振出人 売主 |
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売主は、買主を支払人として自ら為替手形を振り出し、「売主の取引銀行」に為替手形を買い取ってもらいます。「売主の取引銀行」から取立委任(裏書)を受けた別の銀行が買主に手形を呈示し、支払いを受けます。
これを図示すると下のようになります。 |
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貿易取引における為替手形の使い方2
「買主の取引銀行」(支払人 ) 殿 |
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金額 ¥1,000,000
「売主の取引銀行」(受取人 ) 殿またはその指図人へこの為替手形と引替えに上記金額をお支払いください
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振出人 売主 |
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ところが、買主の信用力が低い場合は、買主の取引銀行に信用状(LC)を開設してもらいます。
よく信用状を保証のようなものと思う人がいますが、実際には、信用状を開設するということは、買主の取引銀行が主たる債務者になるということであり、保証とは異なります。
信用状は、必ず為替手形とセットで使われます。そして、信用状を用いる場合、支払人は買主ではなく、買主の取引銀行となるというのがポイントです。
つまり、売主は、「買主の取引銀行」を支払人として自ら為替手形を振り出し、「売主の取引銀行」に為替手形を買い取ってもらいます。「売主の取引銀行」は「買主の取引銀行」に手形を呈示し、支払いを受けます。
これを図示すると下のようになります。 |
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2.信用状 (Letter of Credit) 取引の全体像
ほかにも説明すべきことはありますが、信用状と為替手形を用いた典型的な貿易取引の全体像を図示すると、下のようになります。
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@売買契約締結
A信用状開設依頼
B信用状開設
C信用状開設通知
D船積
E船荷証券交付
F手形買取依頼※1
G手形呈示
H手形金支払※2
I代金支払※3
J船荷証券呈示
K船荷引渡
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※1 |
船積書類と信用状を添付します。 |
※2 |
B銀行において信用状条件と船積書類の一致を
確認することが前提です。 |
※3 |
買主は、船積書類を引換えに受領します。 |
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