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弁護士 木村 耕太郎


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英文契約書作成上の
注意点(各種契約編)

英文契約書作成上の注意点(各種契約編)

3.共同研究開発契約

 共同研究開発契約( Joint Research and Development Agreement )は、ライセンス契約などと比べて、事案ごとの個性が強く、それだけ難しいと言えます。

  共同研究開発契約では、水平型(同業者どおし)の契約と垂直型(応用品メーカーと素材メーカー、あるいは完成品メーカーと部品メーカー)の契約とがあり、それぞれのタイプに応じた配慮が必要です。多く見られるのは垂直型です。

  共同研究開発契約でよく生じる問題は、素材メーカーから見て「素材のサンプルとデータを提供したところ、相手方が当社に無断で、単独で特許出願した」といったトラブルです。特に、本契約の締結に至る前の、評価をしてもらう feasibility study の段階で、このようなトラブルが多発しています。

  素材メーカーはどうしても「共同研究開発の相手方に自社商品を買ってもらう」という意識があり、必要以上にへりくだりがちです。このようなトラブルを防ぐためには、素材サンプルを提供する前に必ず試料提供契約書( Material Transfer Agreement )を交わすことが必要です(秘密保持契約では足りません)。

  共同研究開発契約においても、最も重要な条項は、やはり成果の帰属についての定めです。単純に書くなら「甲が単独でなした成果は甲に帰属し、乙が単独でなした成果は乙に帰属し、それ以外の成果は甲乙の共有とする」でもよいのですが、事案に応じた、きめの細かい条文とすることが、特に素材メーカーにとっては自己防衛のために重要です。

  共同研究開発契約における第二の重要ポイントは、第三者との同一テーマに関する共同研究開発の禁止に関する条項です。これが特に問題となるのは垂直型の場合です。下手をすると、共同研究開発の相手方を通じて、自社の技術情報がライバルメーカーに流出してしまう危険があるからです。この問題について、特に海外メーカーはきわめてシビアであり、日本メーカーが安易に考えていると、後で痛い目に会う可能性(=相手方である海外メーカーから訴えられるリスク)があります。この点については、独占禁止法上の問題もありますが(「共同研究開発に関する独占禁止法上の指針」参照)、そんなことよりも、第三者と同一テーマについて共同研究開発をすることの危険性について、正しい感覚を持っていただきたいと思います。

  個別の契約書については、弁護士にご相談ください。

 
 
 
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